生命保険とは?必要性や種類、選び方などの基本をわかりやすく解説
公開日:2026年8月17日

生命保険は、将来起こるかもしれないリスクに備える手段のひとつです。日常の病気やケガ、万一の死亡などによる経済的ダメージを補てんしたり、教育資金や老後資金へ備えたりすることができます。しかし、商品の選択肢が多く、契約内容もそれぞれ異なるため、生命保険に「複雑」「むずかしい」といったイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、生命保険の仕組みや種類、どうして必要なのかといった基本を紹介します。加えて、生命保険の選び方のポイントもわかりやすく解説します。
生命保険とは
生命保険は、被保険者が死亡した場合や、病気・ケガで入院や手術をした場合などに、契約内容に応じて保険金や給付金を受け取れる金融商品です。病院の治療費による支出増加や、家族の稼ぎ頭が亡くなったことによる収入減少などの経済的ダメージを補うことができます。
生命保険文化センターの「2024年度生命保険に関する全国実態調査」によると、最近加入した民間生命保険の加入目的として、「医療費や入院費のため」が最も多く「万が一のときの家族の生活保障のため」「万が一のときの葬式代のため」が続いています。多くの人が、医療費や家族の生活費など、もしもの出費に備えるために生命保険を利用していることがわかります。
生命保険の基本にあるのは、「相互扶助」という助け合いの仕組みです。
相互扶助とは、多くの人が少しずつお金を出し合い、困った人を支える考え方です。保険に加入した人全員が、同じタイミングで保険金を受け取るわけではありません。多くの契約者が保険料を出し合い、その中から死亡や病気などにあった人へ保険金や給付金が支払われます。そのため、支払った保険料より大きな金額を受け取れる場合があるのです。
生命保険の必要性
生命保険が必要かどうかは、家族構成や貯蓄額、働き方などによって異なります。すべての人に同じ保険が必要なわけではありません。
経済的なリスクへは、貯蓄があれば対応できることもあります。貯蓄は自由に使いやすい点がメリットです。一方で、十分な金額が貯まる前に万が一のことが起きるリスクがあります。生命保険は、保険料を支払う必要がありますが、加入直後から保障を得られる点がメリットです。そのため、予測できない大きな出費や収入減への備えとして活用できます。
将来、何が起こるかを確実に予測することは不可能です。家具や家電の故障といった小さな出費であれば貯蓄を取り崩すことで対応しやすいでしょうが、「家計を支える人が亡くなった」「病気で長期間入院することになった」といった大きな収入減や、臨時出費があると、貯蓄だけでは補いきれない家庭が多いのではないでしょうか。
生命保険文化センターの調査を見ると、毎年変動はあるものの、日本人の9割が、なんらかの生命保険に加入していることが分かります。
<生命保険の世帯加入率(個人年金保険を含む)の推移>
出典:生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査「(2024年度)」
十分な貯蓄がない段階では、貯蓄と保険を役割に応じて組み合わせることが大切です。日常的な出費や小さなトラブルには貯蓄で備え、家計に大きな影響が出るリスクには生命保険で備えると考えるとよいでしょう。
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生命保険の3つの基本形
生命保険の基本形は、保障期間や満期保険金の有無によって、「定期保険」「終身保険」「養老保険」の3つに分けられます。それぞれの違いを確認しておきましょう。
①定期保険
定期保険とは、あらかじめ決められた保険期間中に死亡した場合や、所定の高度障害状態になった場合に、保険金を受け取れる保険です。
保険期間は「10年」「20年」などの年数で決めるタイプや、「60歳まで」「65歳まで」など年齢で決めるタイプがあります。保険期間が終わると保障も終了し、満期保険金はなく、解約返戻金もないか、あっても少額であることが一般的なため、「掛け捨て型」と呼ばれます。
一方で、終身保険や養老保険に比べると、少ない保険料で大きな死亡保障を準備しやすい点が特徴です。子どもが独立するまで、住宅ローンの返済が終わるまでなど、一定期間だけ大きな保障を持ちたい場合に向いています。
保険金は、一時金で受け取るタイプが主流です。ただし、商品によっては、年金形式で毎月受け取るタイプもあります。
>関連記事:定期保険とは?終身との違いや選び方のポイントを徹底解説
②終身保険
終身保険とは、保障が一生涯続く保険です。死亡した場合や、所定の高度障害状態になった場合に、保険金を受け取れます。定期保険のような満期はなく、契約が有効に継続している限り、死亡保障が一生涯続きます。契約を解約しない限り、一生涯にわたって死亡保障が続きます。
また、終身保険は契約期間が長くなるにつれて解約返戻金(保険を途中で解約したときに戻ってくるお金)が増える商品が多いため、一般的に「貯蓄型」の保険といわれます。ただし、預貯金のように必ず元本が守られるわけではありません。ただし、解約返戻金の有無や増え方は商品によって異なり、解約時期によっては払込保険料総額を下回ります。
③養老保険
養老保険とは、死亡保障と貯蓄性をあわせ持つ保険です。保険期間中に死亡した場合や、所定の高度障害状態になった場合は、死亡保険金を受け取れます。一方、満期まで生存していた場合は、満期保険金を受け取れます。一般的な養老保険では、死亡保険金と満期保険金が同額に設定されます。
養老保険は、死亡リスクに備えながら、将来の資金準備にも使える保険です。教育資金や老後資金など、決まった時期にまとまったお金を準備したい場合に活用されることがあります。ただし、満期保険金が払い込んだ保険料の総額を下回ることもあります。加入前に、支払う保険料の総額と、将来受け取れる金額をよく確認しておきましょう。
生命保険の種類
ここでは、生命保険を「何に備えるか」という目的別に、3種類に分けて見ていきましょう。
①万が一へ備える保険
ご自身や家族に万が一のことがあったとき、遺された家族の生活を経済的に支える目的の保険です。亡くなった際に、遺族が保険金を受け取ることができます。保険商品としては、定期保険、終身保険、利率変動型積立終身保険、養老保険、収入保障保険などがあります。
>関連記事:収入保障保険の保険金を受け取る時に税金はかかる?種類や違いを解説
②病気やケガに備える保険
ご自身や家族が病気やケガをしたとき、入院や手術、介護にかかる費用をまかなう保険です。入院したときや特定の病気と診断されたときなど、保険に定められた条件に当てはまる事由が発生すると、給付金や保険金を受け取ることができます。具体的には、医療保険、がん保険、特定疾病保障保険、介護保険、就業不能保障保険などがあります。
>関連記事:医療保険のプランの選び方は?種類や注意点を解説
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③将来必要な資金に備える保険
教育資金や老後資金など、将来必要となる資金の準備にも活用できる貯蓄性のある保険です。貯蓄性のある保険のなかには、保障を確保しながら、満期保険金や年金、解約返戻金などを将来の資金として活用できる商品があります。代表例として、老後資金に備える個人年金保険や、教育資金に備える学資保険があります。
生命保険の選び方
次は、生命保険を選ぶときのポイントを解説します。
・どんなリスクに備えるかを明確にする
生命保険には、幅広いリスクに対応できるさまざまな商品があります。そのため、まずは「どんなリスクに備えるか」を明確にして、目的に見合う保険を選ぶことが大切です。
想定されるリスクは、家族構成やライフステージなどにより異なります。例えば、社会人になって親から自立すると、病気やケガをしたら、治療費の発生や働けないことによる収入減少により、家計状況が悪化するリスクがあります。
小さな子どもがいる人なら、もしご自身が亡くなっても子どもが困窮しないよう、生活費や教育費を残すことを考えておきたいところです。また、働いている間に、退職を迎えた後に必要な老後資金の準備を始めておくと安心でしょう。
・保障に必要な期間を考える
保険の保障期間には、一定期間の保障が得られる「定期タイプ(更新型、全期型)」と、一生涯保障が続く「終身タイプ」があります。
一生涯の保障があれば安心でしょうが、必要な時期を見極めて定期タイプを選ぶことで、保険料が抑えやすくなります。例えば、子どもの生活費や教育費に困らないように手厚い死亡保障が欲しい場合は、子どもが独立するまでの期間だけ保障する定期タイプの保険で十分備えられます。このように、ご自身が保障を必要とする期間を考えて、保障期間を決めましょう。
>関連記事:生命保険の保険期間を理解しよう:終身型、更新型、全期型(有期型)の違いと選び方
・適切な保障額を導き出す
保障額は高いほど安心ではあるものの、高すぎると保険料の負担が大きくなります。そのため、加入する目的に合わせて、適切な保障額を導き出すことが大切です。
まず「必要な保障額はいくらか」を考え、そのうち「公的保障や預貯金でいくら補てんできるか」という順番で考えましょう。公的保障には、一定の要件を満たす場合に利用できる傷病手当金や高額療養費制度、死亡時の遺族年金などがあります。利用できる制度や給付額は、加入している公的医療保険・年金制度や働き方、家族構成によって異なります。
例えば次の図のように、死亡保険に加入するときは遺族の今後の収入と支出を予想し、不足する分を必要な死亡保障額と考えます。公的保障で補てんできる金額は、加入している公的年金制度や医療保険制度によって異なるので、ご自身の場合はいくらなのかを確認することが大切です。
<一家の大黒柱の死亡リスクに備える際の必要保障額のイメージ>
資料:執筆者作成
>関連記事:自分に必要な生命保険の保険金額・給付金額を考える
・無理のない保険料と払込期間を設定する
生命保険は心強い存在ですが、保険料が家計を圧迫する事態は避けたいものです。さまざまなリスクに備えておきたいところでしょうが、無理なく支払える保険料にすることを忘れないことが大切です。
保険料を抑えるポイントは、第一に、必要最小限の保障内容にすることが挙げられます。得られる保障金額を下げれば、保険料は抑えられます。ただ、必要であるにも関わらず保障額を引き下げるのはおすすめしません。
保障額を減らしたくないときは、「保障期間」や「払込期間」に目を向けてみましょう。例えば、一生涯の保障が得られる終身保険よりも、保障期間を限定している「定期保険」のほうが保険料は抑えやすいです。また、払込期間が長い「終身払い」を選択すると、毎月の保険料は引き下げやすくなります。
生命保険の加入前に確認しておくべきこと
最後に、生命保険に加入する前に把握しておくべき注意点を3つ紹介します。
・健康状態によっては希望どおりに契約ができない場合もある
生命保険は、加入時に健康上の問題があると、生命保険会社が申し込みを引き受けてくれないことがあります。なぜなら、相互扶助が大原則となっているため、契約者間の公平性が重視されるからです。
ただし、健康状態に不安があると必ずしも保険に加入できないとは限りません。商品や症状によっては、保険料の割増や保険金の減額などの条件付きで契約できることがあります。ご自身の病歴などを踏まえて、加入できる保険を探してみてください。
また逆に、健康状態の良い人やタバコを吸わない人などを対象に、割安な保険料で契約できる「リスク細分型」の仕組みを導入している商品もあります。健康状態が良い人は、こうした保険を選ぶと保険料が抑えやすくなるので、商品を探すときに意識しておくと良いでしょう。
・健康状態や既往歴を正確に告知する
生命保険に加入する際、契約者または被保険者は、保険金の支払事由に強く関係している健康状態のことなどを保険会社に告知する義務があります。故意または重大な過失による告知義務違反があった場合、契約や特約が解除され、保険金や給付金を受け取れないことがあります。
一般的な約款では、責任開始日から2年を超えて契約が有効に継続した場合は告知義務違反を理由に解除されない扱いがありますが、支払事由が2年以内に発生していた場合や、告知内容が特に重大な場合などは別の扱いとなることがあります。そのため、保険に加入する際に保険会社から聞かれた質問には、正確に答えるようにしましょう。
>関連記事:生命保険の告知義務違反とは?該当するケースや違反しないための対策方法を解説
・複数の保険会社の商品を比較検討する
日本には数多くの生命保険会社があり、同じような条件の商品でも、保険会社によって保障や保険料に違いがあります。そのため、契約する前に、複数の保険会社の商品を比較検討することが大切です。
契約内容によっては、保険料に大きな差が出て、家計への負担が変わる可能性もあります。手間に感じるかもしれませんが、少なくとも2社以上を比較して、割安な保険料で十分な保障が得られる商品を選びましょう。
まとめ
生命保険とは、大勢の人がお金を出し合って助け合うことで、将来起こり得るリスクに備えるものです。万が一のとき、病気やケガをしたとき、まとまった資金の準備をしたいときなど、ご自身や家族の状況に合わせて保険を選びましょう。
「何に備えたいのか」という目的を明確にすることが、適正な保障を得ることや、保険料を必要最小限に抑えることにつながります。
ご自身の価値観やライフプランに合った保険を選び、リスクにきちんと備えることで、安心して生活を送れるようにしましょう。
※この記事の情報は2026年6月時点
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プロフィール
ファイナンシャル・プランナー(AFPⓇ)。FP事務所マネセラ代表。(https://manesera.com/)
張替 愛(はりかえ あい)
「ひとつひとつの家庭にとっての最善策」を探すことを大切に、金融商品を販売せずに、年間100回近く家計相談を行う。専門分野は教育費・住宅購入・資産運用・ママのキャリアなど。コラム執筆や監修、オンラインマネー講座などでも活躍。2児の母でもある。
著書『~共働き800万円以下の夫婦でもハッピーライフ~プチ贅沢を楽しみながらムリなく資産を増やす』(ビジネス教育出版社)
