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ドル建ての生命保険とは?種類や円安・円高への影響、メリット・デメリットを解説

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公開日:2026年1月8日

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ドル建て保険は、保険料や保険金を米ドルでやり取りする仕組みで、日本円建てより予定利率が高く設定される傾向がある為注目が集まっています。既に契約中の方や、金融機関から提案を受けて検討している方にお会いする機会も多くあります。確かに低金利の円建て保険と比べるとドル建て保険は魅力的です。しかしその一方で、為替変動のリスクは避けられません。メリットだけに目を向けて、仕組みを十分に理解しないまま加入すると思わぬ損失につながる可能性もあります。
本記事では、ドル建て保険の種類や為替の影響、メリット・デメリットなど円建て保険との違いをわかりやすく解説します。

※ネオファースト生命が取り扱っていない保険を紹介しています。


※本記事についてのご注意

ドル建て保険とは? 

ドル建て保険とは、保険料の払い込みから、将来の解約返戻金、または、死亡保険金の受け取りまで、すべて米ドルで行う生命保険です。日本より金利水準の高い外貨で運用するため、一般に円建て保険よりも予定利率が高くなります。予定利率とは、保険会社が契約者から受け取った保険料を運用し、そこから得られる将来の運用益を見込んで、あらかじめ設定する利回りのことです。この予定利率が高いほど毎月の保険料は安くなり、逆に低いと保険料は高くなります。

そうした背景から米ドル建て保険に関心を寄せる人が増えているのです。他にも、豪ドル建て、ユーロ建てなど、複数の外貨建て保険があります。注意すべきは、為替変動リスクです。保険金や解約返戻金を受け取る時は、その時の為替レートで日本円に換算されるため、円安・円高の影響を受けます。円安になると円での受取額は増えますが、円高になると目減りしてしまいます。外貨建て保険は、予定利率だけを見るのではなく、為替リスクも十分に理解したうえで加入しましょう。

ドル建て保険の種類 

ドル建て保険は、死亡保障を重視したものから、老後などの資産形成を目的としたものまで幅広くラインナップがあります。自身のライフプランを描き、加入する目的を明確にして選ぶようにしましょう。主な種類は、次の3タイプです。

■ドル建て個人年金保険
老後の生活資金づくりを目的とした外貨建ての個人年金保険です。契約時に設定した年齢を迎えると、米ドルで一定額の年金を受け取ります。円建ての個人年金よりも予定利率が高い分、効率的に老後資金を準備できます。

■ドル建て養老保険
満期までの保障と、満期後の資産形成を両立できる外貨建て保険です。満期までの一定期間に死亡した場合は、保険金が支払われる保障を持ちながら、満期時には米ドルで満期保険金を受け取れるのが特徴です。

教育資金や将来の大きな支出に備えたい人にとって、「貯蓄」と「保障」の両面を備えたメリットがあります。

ドル建て保険の円安・円高への影響は?

ドル建て保険は、保険料の払い込みや将来の受け取りを外貨で行うため、為替レートの変動によって支払う保険料や受け取れる保険金の額が変わります。具体的に円安時、円高時の影響を見ていきましょう。

■円安時の影響
円安とは、日本円の価値が下がり、1ドルを買うのに必要な円が増える状態をいいます。ドル建て保険では、この円安が受け取り時にプラスに働くという特長があります。1ドル=100円の時に、死亡保険金 10万ドルの契約をした場合、受け取り額は日本円で1,000万円(10万ドル×100円)です。仮に死亡時の為替レートが1ドル=150円まで円安になっていたら、受け取り額は1,500万円(10万ドル×150円)になります。

■円高時の影響
円高は、円安とは反対に日本円の価値が上がり、1ドルを買うために必要な円が少なくて済む状態をいいます。契約時のレートが1ドル=100円で、死亡保険金 10万ドル(1,000万円) を想定して加入した場合も
受取時に1ドル=80円と円高になっていると、受け取り額は800万円(10万ドル × 80円)に減ってしまいます。

このように、円安が進むほど円換算の受取額は増えるため、ドル建て保険は円安局面で有利です。これは死亡保険金に限らず、解約返戻金を円に換算する場合も同じ考え方になります。
一方、円高は受け取り額が減る方向に働くため、ドル建て保険で最も避けたい局面といえます。

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ドル建て保険のメリット

ドル建て保険は、為替変動によるリスクがある一方で、円建て保険にはない魅力や利点もあります。
主なメリットをみていきましょう。


■円建て保険よりも保険料を抑えられる
ドル建て保険は、円建て保険より予定利率が高めに設定されているため、契約時の年齢や条件が同じでも、円建て保険より割安な保険料で加入できます。円建てより保険料の負担が抑えられ、しっかり保障が得られるのは魅力です。

■為替差益によって資産を増やせる可能性がある
ドル建て保険は、契約時より円安が進んでいれば、円に換算したときの解約返戻金や保険金の受け取り額が増えるという特徴があります。為替の動き次第で有利に働くというのは外貨建て保険ならではです。

■外貨運用でリスクを分散できる
ドル建て保険に加入することは、日本円ではなく米ドルで資産を持つことを意味します。日本円だけの金融商品に依存している場合、円安や国内金利の変動といった日本の状況に資産価値が大きく左右されがちです。

外貨建て保険など米ドルの資産を取り入れることで、資産全体を円だけに偏らせない「リスク分散効果」が期待できます。特に米ドルは、世界で最も取引量が多い基軸通貨であり、相対的に安定性が高いとされています。長期の資産形成において、ポートフォリオの一部を外貨にすることは合理的な選択肢といえるでしょう。

ドル建て保険のデメリット

ドル建て保険は魅力がある一方で、為替相場の変動などのリスクも存在します。契約後に「こんなはずではなかった」とならないためにも、デメリットを正しく理解しておきましょう。

■円換算で元本が保証されない
ドル建て保険は、保険料の払込や保険金の受け取りを米ドルで行うため、日本円に換算するときの金額は常に為替相場の影響を受けます。契約当初より円高が進んでいる場合、円に換算すると元本を下回ってしまう可能性があります。

元本とは、最初に支払った金額(=保険料)のことです。円建て保険では、保険会社が円ベースの元本を保証しているケースが多い一方、ドル建て保険では円換算後の元本保証はないため、受取額が目減りするリスクがあります。長期的に円安が続けば有利に働きますが、逆に円高局面では思わぬ損が生じる可能性がある点を理解しておきましょう。

■為替手数料が繰り返し発生する
ドル建て保険は、保険料の払い込みや保険金の受け取りの際に、円とドルを両替する手続き(為替取引)が必ず発生します。このときにかかるのが為替手数料です。円を米ドルに換えるときの手数料は、一般的に1通貨あたり1円程度です。

一見すると小さな負担に見えますが、毎月の保険料の払い込みや、解約時・保険金の受取時と何度も為替手数料を支払うことになります。1回の手数料は小さくても、積立期間が長くなると総額の手数料負担が大きくなる点は押さえておきましょう。

■為替変動で保険料負担が増減する
ドル建て保険は、保険料を米ドルで支払うため、日本円での負担額はその時の為替レートによって変動します。例えば、保険料が月々200ドルというドル建て保険の例で考えてみましょう。契約時の為替レートが1ドル=100円の場合、保険料は2万円(200ドル×100円)の支払いとなります。

それが、徐々に円安が進み1ドル=150円になると、保険料は1.5倍の3万円(200ドル×150円)になるのです。もちろん、反対に、円高になっていけば保険料の負担はだんだん軽くなります。

つまり、日本円での支払額は、円安が進むほど増え、円高が進めば減るわけですから、月々の実質の保険料負担や支払い総額は確定しません。近年は円安が進んでいることから「保険料の負担が増えて家計が大変」という声を耳にすることもあります。ポイントは、先々円安になっても支払える保険料かどうかです。契約時では、円安になっても支払えるかどうかも踏まえて検討しましょう。

 

ドル建て保険に向いている人・向いていない人

ドル建て保険は、円建てに比べて魅力的な部分も多いですが、すべての人に適しているとは言えません。
では、どういった人に向いているのでしょうか。ドル建て保険に向いている人、向いていない人の特徴を見て行きましょう。

■ドル建て保険に向いている人
 ・長期的な資産形成や保障を目的にしている人
  死亡保障を確保しながら同時に資産形成をしたい人で、かつ予定利率が高い保険を希望する場合は外貨保険が選択肢になります。

 ・円安リスクに備えて外貨資産を持ちたい人
  資産を円だけではなく外貨にも分散させたいと考える人にとって、生命保険を外貨建てにすることは、長期的に外貨を保有する一つの方法です。

 ・円建てより保険料負担を抑えて保障を確保したい人
  外貨建ては相対的に予定利率が高いため、同じ保障でも円建て保険より保険料が割安です。外貨建てならではの特徴を活かしたい人に向いています。

 ・為替リスクを理解している人
  外貨建て保険は、円高・円安という為替の変動によって、将来の受取額や負担する保険料が変わります。この仕組みを理解し、リスクを許容できる人であることは
  何より大切なことです。

■ドル建て保険に向いていない人

 ・為替相場の動きに不安を感じる人
  為替が動くことを不安に感じる人や、円高・円安の仕組みを十分に理解していない人、金額が変動する商品よりも一定の金額で管理できる商品を好む人は、
  ドル建て保険は避けた方が安心です。

 ・保険料や保険金を円で管理をしたい人
  毎月の保険料が為替によって変動するため、家計管理を安定させたい人にとっては少し悩ましいかもしれません。また、解約返戻金や保険金の額も変動するため、
  できるだけ分かりやすく管理したいという人は円建ての保険が向いています。

 ・短期間で解約する可能性が高く、元本割れを避けたい人
  貯蓄型保険は、円建て・外貨建てにかかわらず早期に解約すると解約控除などの手数料がかかり、元本割れしやすい特徴があります。急な支出で解約をする可能性
  がある人は慎重に検討しましょう。

 ・手数料が気になる人
  ドル建て保険は、保険料の支払い時に「円→ドル」、解約返戻金や保険金の受取時に「ドル→円」への両替が必要です。その都度、為替手数料がかかるため、
  同じレートで支払い・受け取りを行なったとしても、手数料分だけ実質的な受取額が目減りします。こうしたコストが気になる人は、ドル建てではなく円建て保険
  を選んだ方が良いかもしれません。

まとめ

ドル建て保険は、円建て保険にはないメリットがある一方で、為替変動による影響を大きく受ける商品です。予定利率が高い分、保険料を抑えながら保障を確保でき、外貨での資産形成や通貨分散を期待する人にとって魅力的な選択肢といえます。しかし、円換算での元本保証がない点や、為替レートによる保険料負担の変動など、円建て保険にはない特有のリスクもあります。大切なのは、「ドル建て保険に加入する目的は何か」を明確にすること。そのうえで、保険に求めるもの(保障なのか、貯蓄なのか、外貨分散なのか)、為替変動に対してどれだけ許容できるか、といった点を整理しながら選ぶことが大切です。加入を迷うときは、円建て保険や他の金融商品とも比較しながら、自分のライフプランに合った選択をしていきましょう。

 この記事の情報は2025年11月時点

プロフィール
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ファイナンシャルプランナー(CFP®)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種
白浜 仁子(しらはま ともこ)

1989年地方銀行に就職。結婚、出産を経て2008年より独立系FPとして始動。家計、資産運用、住宅購入、生命保険など幅広い視野でコンサルティングを行うライフプランの専門家。また、障害を持つ子の親亡き後問題やおひとりさまの終活サポートも行なっている。

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