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認知症は何人に一人の割合でなる?65歳以上の有病率や備えのポイントを解説

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公開日:2026年8月17日


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少子高齢化が急速に進む日本において、認知症は大きな社会問題となっています。親や祖父母などの身近な人が認知症になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。また、いつか自分自身が認知症になる可能性もあります。
本記事では、高齢者の何人に一人が認知症になるのかといった有病率について、また認知症の種類、認知症になった場合に利用できる公的な制度、そして民間の認知症保険について詳しく解説していきます。

認知症は何人に一人がなる?

内閣府の「令和7年(2025年)版高齢社会白書」によりますと、202410月時点の日本の総人口は12,380万人、そのうち65歳以上の高齢者人口は3,624万人です。

総人口に占める65歳以上の高齢者の割合を高齢化率といいますが、高齢化率は29.3%に達しており、日本人の10人におよそ3人が高齢者となっているのです。この超高齢化社会で、認知症は誰もが直面する可能性のある身近な問題となっています。この章では、高齢者が何人に一人の割合で認知症になるのか、データをもとに解説します。

・2022年時点では65歳以上の約8人に1人と推計

前述の「令和7年版高齢社会白書」によると、2022年における認知症の高齢者数は443.2万人で有病率12.3%、つまり65歳以上の高齢者の約8人に1人が認知症と推計されています。また、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)の高齢者数は 558.5 万人(有病率15.5%)と推計されています。

・2040年には65歳以上の約7人に1人になる予測

また、同白書に基づく将来推計によると、下図のように2040年には認知症の高齢者数は約584.2万人(有病率14.9%)で高齢者の約7人に1人が認知症になると予測されており、軽度認知障害(MCI)の高齢者数は約612.8万人(有病率15.6%)になると推計されています。

図表 認知症及びMCIの高齢者数と有病率の将来推計
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出典:内閣府「令和7年版高齢社会白書 第2節 高齢期の暮らしの動向」

そもそも認知症とは?

認知症とは、脳の神経細胞の働きが徐々に変化し、記憶力や判断力などの認知機能が低下して社会生活に支障をきたしている状態のことをいいます。高齢になると認知症と診断される人も増えてきますが、年齢に関係なく誰もが発症する可能性があり、65歳未満で発症するケースは若年性認知症と呼ばれます。

・軽度認知障害(MCI)との違い

認知症の前段階と考えられている状態に「軽度認知障害(MCIMild Cognitive Impairment)」という段階があります。軽度認知障害(MCI)とは、記憶障害などの軽度の認知機能の障害が認められるものの、日常生活には大きな支障がないため認知症とは診断されない状態のことで、認知症の前段階として位置づけられています。

MCIの方は、何かしらの認知症のサインが出ている状態といえます。MCIの段階で変化に気付き、医療機関への相談や生活習慣の見直しなど、状態に応じた適切な対応を行うことで、認知機能が回復したり、認知症への進行を遅らせたりできる可能性があります。気になる症状があったら早めにかかりつけ医や専門医に相談しましょう。

・もの忘れとの違い

認知症の症状で多い記憶障害は、加齢による「もの忘れ」と混同しがちです。もの忘れは、本人にも自覚があり症状の進行も緩やかな傾向ですが、認知症の場合は本人の自覚が乏しいことが多く、症状も進行していくため、早期に医師の診察や検査を受けることが重要です。

一般的に、もの忘れは出来事の一部を忘れてしまい、ヒントがあれば思い出せますが、認知症の記憶障害は、出来事の全部が抜け落ちてしまっていて、ヒントがあっても思い出せないという違いがあります。他に、認知症では日付や場所を認識できなくなる、感情のコントロールができなくなる、被害妄想や徘徊といった症状が出るケースもみられます。このような状態になると、家族や周囲の人が見守る必要も出てくるでしょう。

認知症の種類

認知症にはいくつか種類があり、それぞれ原因や現れやすい症状が異なるとされています。代表的なものは、下表のとおりです。

図表 主な認知症の種類とその症状
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出典:政府広報オンライン「知っておきたい認知症の基本」をもとに筆者作成

認知症になった場合に利用できる公的な制度

認知症になった場合、介護費や医療費といった経済的な負担も出てくるでしょう。この章では、経済的な負担を抑えるための3つの公的な制度について解説します。

・介護保険制度

介護保険制度とは、65歳以上の方は、認知症などにより要介護・要支援の認定を受けると、訪問介護や通所介護などの介護保険サービスを利用できる制度です。

4064歳の方は、初老期における認知症など、国が定める特定疾病が原因で要介護・要支援状態になった場合が対象です。要介護度別に1ヶ月あたりの支給限度額が設定されており、介護保険サービスは、原則として費用の1割、一定以上の所得がある方は2割または3割の自己負担で利用できます。介護保険制度を利用することで経済的な負担をある程度抑えることができるでしょう。

ただし、居宅サービスには要介護度別の支給限度額があり、限度額を超えて利用した分は全額自己負担となります。

・高額療養費制度

認知症になると医療機関を受診して検査や治療を受けるだけでなく、入院が必要になる場合もありますので、医療費の負担も考慮しておきましょう。

公的医療保険により、医療費の自己負担は1割~3割で済みますが、負担が大きくなったら「高額療養費制度」で自己負担額を軽減することもできます。

・高額介護サービス費制度

介護保険サービスを利用すると自己負担割合に応じた利用料を払いますが、その負担を軽減できる高額介護サービス費制度もあります。高額介護サービス費制度は、1ヶ月に支払った利用者負担額の合計が所得に応じた上限額を超えた場合に、超過分が介護保険から払い戻される制度です。

高額介護サービス費の上限額は、所得区分や個人・世帯の別によって異なります。例えば、一般的な市区町村民税課税世帯では月額44,400円、住民税非課税世帯では世帯で月額24,600円などです。支給を受けるには市区町村への申請が必要であり、申請後に審査を経て超過分が払い戻されます。ただし、生活費にあたる施設での住居費、福祉用具の購入費、住宅改修費の1割負担分など、対象外の費用もありますので注意しましょう。

公的な制度以外に民間保険で備える必要はある?

これまで説明してきたように、認知症には公的な制度で対応することも可能ですが、自分自身でも経済的な備えをしておくと、より安心です。

その選択肢の一つとして、民間の保険が注目されています。民間の介護保険商品では、一定の要介護状態になった時に一時金や年金形式で保険金が支払われるものが多くなっています。また、保障内容を認知症に絞った認知症保険もあります。

・公的な制度でカバーできない費用がある 

民間保険が注目される背景には、公的介護保険の居宅サービスでは要介護度ごとに設定された月額の支給限度額を超過してしまうと全額自己負担となってしまう、ということが挙げられます。

また、施設入居の場合の施設サービス費は、介護保険の1割から3割の自己負担割合に応じた費用の他に、居住費、食費、日常生活費、などがかかります。施設の種類や契約内容によっては、おむつ代などが別途必要になることもあります。これらを含めると月額10万円以上の自己負担が発生するケースもあります。

また、他にも、介護保険の支給限度額を超えたサービス費や、制度の対象外となる住宅改修など公的制度だけではカバーできない費用が生じることもあります。認知症保険でこれらの経済的負担に備えるという方法もあるでしょう。

・家族の経済的負担を軽減できる

認知症になると、働くことが困難になり収入が減少することも考えられます。また、家族が介護のための離職や時短勤務を余儀なくされる可能性もあります。
介護が長期化すると、家計への影響が大きくなる傾向もありますので、家族や親族の経済的負担を軽減するために、預貯金や民間保険で備えることを考えておくとよいでしょう。

認知症保険を選ぶ際のチェックポイント

認知症保険はどのように選べばよいか、確認してみましょう。

・保険金の支払い条件を確認する

認知症保険には、所定の認知症と診断された場合などに一時金が支払われる商品や、一定期間または所定の期間にわたって年金形式で給付を受けられる商品があります。この一時金や年金を、認知症になった場合の介護費や治療費などにあてることができます。また、認知症にならずに死亡した場合は死亡保険金が支払われる商品や、認知症で入院したら入院給付金を受け取れる商品もあります。

保険金を受け取れる条件は商品によって異なります。例えば、所定の認知症と診断確定された場合に保険金が出る商品もあれば、「認知症と診断され、かつ公的介護保険制度における要介護度1以上の場合」のように、追加の条件がある商品もありますのでよく確認しましょう。

認知症の発症リスクを低減するためには、適度な運動、バランスのよい食事、生活習慣病の管理、社会参加などが大切だと言われています。軽度認知症(MCI)は保障の対象外とする商品もありますが、商品によっては、MCIが保障対象となり、所定の条件を満たした場合に一時金を受け取れるものもあります。MCIの段階から保障される商品であれば、早期の受診や検査にかかる費用への備えとして活用できる場合があります。

・保険金の支払いタイミングを確認する

保険金の支払われるタイミングは商品により異なり、公的介護保険の所定のレベルに該当することが条件という商品もあれば、認知症と診断されて一定期間(3か月から6か月程度)その状態が継続することが条件となる商品もあります。

保険金を受け取れる時期は、商品ごとの支払条件によって異なります。要介護認定や所定の状態が一定期間継続することが条件となる商品では、診断後すぐに保険金を受け取れない場合もあります。必要な手続きや書類とあわせて、支払条件を確認しておきましょう。

・予防アプリなど付帯サービスの有無を確認する

認知症は、早期発見や予防により進行を遅らせることができる可能性もあります。そこで、認知症保険には、認知症になった場合の保障に加えて、認知機能検査の実施や認知症予防アプリの提供といった付帯サービスが利用できる商品もあります。

また、家族が認知症になると経済的な負担だけでなく精神的な負担も生じるでしょう。認知症保険に、認知症や介護に関する電話相談、介護施設や専門医療機関の情報提供などの付帯サービスを提供している保険会社もあります。

認知症保険の検討をする際は、保険金の保障内容だけでなく、認知症のリスク低減や早期の相談につながるサービス、発症後の家族のサポート体制を整えるのに役立つサービスの有無や利用条件も確認しておくとよいでしょう。

まとめ

2022年時点では、65歳以上の約8人に1人が認知症であると推計されており、2040年には約7人に1人になると見込まれています。65歳以上の方は、認知症などにより要介護・要支援の認定を受けると、公的介護保険のサービスを利用できます。ただし、介護サービス費の自己負担分や支給限度額を超えた費用、施設の居住費・食費など、公的制度の対象とならない費用もあります。

民間の認知症保険は、公的制度や預貯金だけでは不足する可能性がある費用に備える方法の一つです。必要性は、預貯金、収入、家族構成、希望する介護のかたちなどによって異なります。保険金の支払条件や保障内容、付帯サービス、保険料を確認し、ご自身の状況やライフプランに応じて総合的に判断しましょう。

  • この記事の情報は2026年6月時点のものです。
プロフィール
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ファイナンシャルプランナー(CFP®)。一級ファイナンシャル・プランニング技能士。

福島佳奈美(ふくしまかなみ)

将来のお金の不安をなくすためには、長期的なライフプランを立てて将来のマネープランを作ることと、日々の家計管理が必要だと実感。保険、住宅ローン、教育費、老後資金準備など、「誰からも教わらなかったけれど生活するうえで必要なお金の知識」を、マネーコラム執筆やセミナー講師、個人相談などを通じて伝えている。

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