保険の役割とは?公的保険と民間保険の違いや種類を解説
公開日:2026年8月17日
私たちの日常生活は、病気やケガ、事故といった予測できないリスクと隣り合わせです。これらのリスクによって金銭的に負担が生じると、公的保険や民間保険で補えない費用は、貯蓄を取り崩して支払うことになりますが、貯蓄が減れば今後の生活が厳しくなり、やりたかったことができなくなることも考えられます。そうならないための備えの一つとして「保険」があります。保険には国や地方自治体が運営する公的保険と民間会社が提供する保険の2つがあります。
本記事では、そのような保険の役割について解説します。
保険とは?
「保険」とは、一定のルールで多くの人が公平にお金(保険料)を出し合い、病気や事故など契約や制度で定められた事由が発生した人に、保険金・給付金や所定のサービスを提供する仕組みです。
保険では損失をもたらす事象が発生する可能性を「リスク」と呼んでいます。
リスクには病気やケガ、交通事故、火災などさまざまなものがあります。このような、誰にでも起こる可能性があるけれど予測が難しく、もし発生すると家計に大きな影響を及ぼす可能性があるリスクに対して、多くの人と共同で備える大切な役割を持つのが保険です。
保険料を負担した仲間同士の助け合いという位置づけのため、保険金や給付金、サービスを受けられるのは、原則として、契約や制度で定められた対象者が所定の条件を満たした場合です。また、少額の保険料を出し合い多数の人の分をまとめることで、支払事由が発生したときに高額の給付を受けられる仕組みのため、保障を主な目的とする保険では、支払事由が発生しなかった場合、保険金や給付金を受け取らず、満期時に保険料が戻らない商品もあります。一方、解約返戻金や満期保険金を受け取れる商品もあります。
・保険と貯蓄の違い
保険と貯蓄は人生でどちらも大切ですが、貯蓄はそのリスクが発生した時に積み立てられていた金額の範囲内でしか対応できないのがネックです。資産が少ないと必要額に足りず、満足な対応ができない可能性があるからです。また、将来の教育資金や住宅購入、あるいは旅行や趣味などで使う予定だったお金を使ってしまって、その後の予定が狂うこともあるかもしれません。
一方、保険は保険料を払い始めたばかりだとしても、多くの場合、保障開始直後から払った保険料以上の大きな保険金や給付金を準備できる点が特徴です。
・公的保険と民間保険の違い
国や地方自治体などが法律に基づいて運営する保険制度を「公的保険」といい、民間の保険会社などが契約に基づいて提供する保険を「民間保険」といいます。それぞれの役割や仕組みを理解することで、自分に必要な備えを判断しやすくなります。
公的保険にはさまざまな保険があり、保障内容は医療、介護、障害、死亡、長生き(老後生活費)、雇用・失業などについて生活上のさまざまなリスクに対して給付やサービスを提供しますて基礎的な部分を広く薄く備える役割を担っています。
ただしあくまでも「基礎的」な部分となるため、公的保険でどこまで備えられるかを確認し、不足が見込まれる場合は、預貯金や民間保険などを組み合わせて備えることが大切です。
図表 公的保険と民間保険の違い
執筆者作成
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保険の種類
民間の保険は大きく3つの分野に分けられ、それぞれ異なる対象とリスクをカバーしています。以下、分野別に解説していきます。
・第一分野(生命保険)
第一分野(生命保険)は、第一分野は、人の生存または死亡に関して、契約で定めた保険金を支払う保険で、契約で定められた受取人が保険金を受け取ります。
保険期間は商品によって異なり、10年など一定期間を保障するタイプと一生涯の保障が続くタイプがあります。
保険期間満了時に被保険者が生存していた場合に保険金を支払うものを生存保険、保険期間中に被保険者が死亡した場合に保険金を支払うものを死亡保険といいます。両者を組み合わせたものが生死混合保険です。
生死混合保険や解約返戻金のある終身保険は、死亡保障を確保しながら将来の資金準備に活用できる場合があります。ただし、商品や解約時期によっては、受取額が払込保険料総額を下回ることがあります。
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・第二分野(損害保険)
第二分野(損害保険)は、偶然な事故によって生じた損害を補償する保険です。火災保険や自動車保険などでは、実際の損害額を基準として保険金を支払う実損填補が基本です。
保険期間は、多くの場合1年や数年程度となっています。
保険の種類は火災保険や自動車保険、賠償責任保険など多岐にわたり、保険の対象は建物や家財といった「モノ」、他人の身体や財物に与えた損害に対する「賠償責任」などさまざまです。
自然災害や交通事故、日常生活の事故など幅広いリスクに備え、発生した「費用」や「損害」を補う性質があります。
・第三分野(医療保険・介護保険など)
第三分野は、第一分野と第二分野のいずれにも属さない、病気・ケガ・介護などに備える保険です。
例えば、医療保険やがん保険、介護保険、傷害保険などがあり、商品ごとに定められた入院・手術・通院や介護状態などの支払事由に該当した際に給付金等を受け取れます。
保険期間は1年程度の短期間から終身までさまざまです。
生命保険会社と損害保険会社のどちらも取り扱うことができ、商品によって定額給付と実損填補の両方の要素を持つ商品もあります。
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生命保険の役割
生命保険は私たちの生活におけるさまざまなリスクへの備えとして大変役に立つ仕組みです。
以下では、生命保険が果たす2つの役割について解説します。
・経済的損失を保障する
生命保険会社が提供する生命保険には、死亡保険、医療保険、がん保険、介護保険、貯蓄性の保険など、さまざまな種類の保険があります。これらは、公的保険や貯蓄等だけでは不足する可能性がある以下のようなリスクに対応するために設計されています。
・死亡保険
被保険者が亡くなった際に遺族に保険金が支払われるため、子どもの学費の準備や団体信用生命保険などで返済されない債務への備えに充てたり、遺族の生活を支えたりすることができます。
・医療保険、がん保険
病気やケガで所定の入院や手術などを受けた場合に給付金を受け取り、治療費の自己負担分や入院に伴う諸費用、収入減少などに充てることができます。
・介護保険
介護が必要になった際の諸々の費用に広く活用できる給付を受けられます。
・貯蓄性の保険
将来の満期金や年金、解約返戻金の活用などを視野に、生存中に使える資金準備として位置づけられます。ただし、商品や解約時期によっては受取額が払込保険料総額を下回る場合があります。
将来の不安を軽減する
病気やケガ、介護が必要になることは誰しも起こりえます。また、その際に高額の費用が必要となることもありますが、すべてのリスクに預貯金だけで備えようとすると、十分な資金を準備できるまでに時間がかかる場合があります。必要な備えを確認しておくことは、将来の家計を見通しやすくすることにもつながります。
生命保険を契約することは、もしものときの資金は大丈夫という安心材料になるとともに、必要な保障を適切に確保することで、万一の際に必要となる資金の見通しを立てやすくなります。
特に、家族がいる人や将来的なリスクに備えたい場合は、投資や預貯金等の資産と合わせて、生命保険を賢く活用することは重要と言えます。
まとめ
保険は、多くの人が保険料を出し合い、非常事態に備える助け合い=相互扶助の仕組みです。
公的保険が基礎としてあり、預貯金などを含めても不足する部分を民間保険で補うことで、自分や家族への影響を軽減できるようになります。
保険には第一分野(生命保険)、第二分野(損害保険)、第三分野(医療保険・介護保険など)といった種類があり、それぞれ保障の特徴や役割が異なります。保険の役割を正しく理解し、自分や家族の状況に合わせて必要な保障を整理し、過不足のない備えを検討することが重要です。
また、公的保険も民間保険も、そして医療や社会の状況も変化しますし、自分や家族の年齢や状況も変化します。既に契約している保険が今や将来の想定に合っているかどうかも含め、定期的に備えをチェックするようにするとなお良いでしょう。
※この記事の情報は2026年6月時点
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プロフィール
ファイナンシャルプランナー(CFP®)、社会保険労務士、終活カウンセラー、キャリアコンサルタント)
中村 薫(なかむら かおる)1990年信用金庫に就職。アメリカへの短期留学、大手生命保険会社での営業、損害保険会社代理店業務を経験した後、1997年に独立系FPとして開業、2015年に社労士として開業。リタイア前後のライフプラン・キャリアプランをテーマとした企業研修や個人のご相談を多く受ける。お一人様女性からのご相談は年齢を問わず行っている。障害年金、遺族年金、老齢年金のご相談や手続き業務は累積5000件を超え、金融機関での年金研修もリピートを頂いている。メディア出演、取材協力等:日本経済新聞、NHKクローズアップ現代、日本テレビ ニュースZERO他
