うつ病になっても生命保険に加入できる?加入しやすい保険や公的制度を解説
公開日:2026年3月16日

うつ病は日本人の15人に1人が一生のうちに経験するといわれる病気です。自身や身近な人がうつ病になり、辛い思いをしているという方もいるのではないでしょうか。こうした病気のことを考える中で、生命保険への加入が頭に浮かぶ方も少なくないと思います。その際、「うつ病になっても生命保険に入れるのか」と疑問を持つ方も多いでしょう。生命保険に加入する際は、一般的に健康状態の告知が必要なため、うつ病の診断歴が審査に影響する場合があります。ただし、商品や各社の引受方針によっては、治療中・治療後でも加入可能な場合があります。また、公的制度を正しく理解し活用することで、医療費や生活費の負担を軽減できる仕組みもあります。
本記事では、うつ病になった時に知っておきたい公的制度と、加入を検討しやすい生命保険について解説します。
※ネオファースト生命が取り扱っている商品の加入条件についての記事ではありません。
うつ病とは?
うつ病とは、気分がひどく落ち込んだり、これまで楽しめていたことに興味や関心を持てなくなったりする「憂うつな状態」が長く続く精神疾患です。不眠や食欲不振、疲れやすさなど身体症状があらわれ、日常生活や仕事に支障をきたす状態が続くことが特徴です。
うつ病は、脳内の神経伝達物質である「セロトニン」や「ノルアドレナリン」などのバランスが崩れ、感情や意欲に関する情報を上手く伝えられなくなることで起こると考えられています。決して「気の持ちよう」や「性格の弱さ」が原因ではありません。厚生労働省の資料「精神保健医療福祉の現状等について」によると、精神疾患による外来患者数は増加傾向にあり、令和5年は約576.4万人にのぼります。そのうち躁うつ病を含む「気分(感情)障害」は約156.6万人と、最も多い割合です。
うつ病になっても生命保険に加入できる?
うつ病は生命保険の審査において慎重に扱われやすい疾患のひとつです。うつ病は、一般的に死亡・入院・手術のリスクが高い疾患とされ、健康な人と同じ条件で加入を認めると、保険金や給付金の支払が特定の人に偏り、保険加入者同士の公平性が保てなくなるため、保険会社は長期的な給付リスクを踏まえて審査を行います。
生命保険の申し込みには、健康状態や過去の病歴の告知義務があるため、うつ病や心療内科・精神科の受診歴の申告も必要になるのが一般的です。とはいえ、治療状況や経過年数によって保険会社の判断は異なるため、必ずしも加入できない訳ではありません。保険に加入したいばかりに虚偽の告知をしてしまうと、契約解除や、万一のことが起こった時に保険金が一切支払われないリスクがあるので注意が必要です。
うつ病になった時に利用できる公的制度
うつ病になって、治療が長引き仕事を休むことが増えると、生活費や医療費の負担など経済面に不安感じることでしょう。その時に知っておきたいのは公的制度です。日本では、こういう困ったことが起きた場合、生活を支えてくれる公的制度がいくつも用意されています。うつ病になった時に利用できる公的制度を見ていきましょう。
・傷病手当金
傷病手当金は、健康保険に加入している会社員や公務員などが、病気やケガで仕事に就くことができないときに、生活を支える給付制度です。支給額は、「標準報酬日額×2/3」で、通算して1年6カ月まで支給されます。
<傷病手当金を受け取るための要件>
①業務外の事由による病気やケガの療養であること②仕事に就くことができない状況であること
③連続する3日間を含み、4日以上仕事を休んでいること
④休業した期間について給与の支払がないこと
*すべて該当すること
④については、給与の支払額が傷病手当金より少ない場合、その差額は支給されます。また、申請には医師の意見書が必要となるため、自己判断で休むのではなく、医療機関を受診していることも重要なポイントです。
なお、傷病手当金は「健康保険」に加入している人向けの制度という点は注意が必要になります。自営業やフリーランスの方が加入する「国民健康保険」には、原則、この制度はありません。
・自立支援医療制度
うつ病などの精神疾患で、継続的な通院治療が必要な場合に利用できるのが、「自立支援医療制度(精神通院医療)」です。
この制度は、医療費の自己負担を軽減するための公費負担医療制度で、要件を満たせば、原則3割負担のところ1割となるなど負担が軽減されます。
さらに、世帯の所得に応じて、1カ月あたりの自己負担上限額が設定されているため、長期的な通院治療でも医
療費が高額になりにくい仕組みです。ただし、都道府県や政令指定都市が指定した医療機関、薬局、訪問看護ステーションなどの「指定自立支援医療機関」のみが対象のため、どこでも使える制度ではありません。自身が利用する医療機関が対象なのか事前に確認する必要があります。なお、入院費用や公的医療保険の適用外となる治療、精神疾患と関係ない疾患は対象外です。
・重度心身障害者医療費助成制度
重度の障害がある方を対象に、医療機関で保険診療を受けた際の自己負担を軽減する制度です。
都道府県や市区町村が主体のため、対象となる障害の程度や助成内容は自治体ごとに異なります。
うつ病でこの制度の対象となるためには、原則として、「精神障害者保健福祉手帳」の交付を受けていることが必要です。多くの自治体では、「精神障害者保健福祉手帳1級」であれば、この助成制度の対象となります。
自治体によって、「対象となる等級」「助成の範囲が通院のみか、入院を含むのか」「所得制限の有無」が異なります。お住まいの市区町村の窓口で事前に確認することが大切です。
・障害年金
病気やケガによって、障害状態となった場合に受け取れる公的年金制度です。うつ病などの精神疾患も一定の要件を満たせば対象となります。
障害年金は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種あり、前者はすべての人が対象で、後者は厚生年金に加入している人が対象です。いずれも障害等級1級、2級に該当する場合に支給され、障害厚生年金のみ、比較的軽い障害の場合も3級として年金が支給されるケースがあります。なお、以下の年金の加入要件を満たす必要があります。
<年金の加入要件>
・初診日の属する月の前々月までに、公的年金の加入期間が2/3以上で保険料を納付または免除されている
・初診日時点で65歳未満であり、初診日の属する月の前々月までの直近1年間に保険料の未納期間がない
・生活保護
病気やケガ、失業などにより生活に困窮した方に対して、自立の助長を目的として最低限の生活を保障する制度です。生活保護を受けられるかどうかは、世帯単位で判断されるため、本人の状況だけで決まるものではありません。世帯全員が資産の活用や就労などあらゆる努力を尽くしても、なお、国が定める最低生活費に満たない場合に生活保護の対象となります。
そのため、毎月支給される保護費は、国が定めた最低生活費の基準額から、世帯全体の収入を差し引いた不足分です。年金・給与・仕送りなどの収入がある場合は、それらを差し引いたうえで必要額が支給されるということになります。
うつ病になった後でも加入しやすい生命保険
ここからは、生命保険について見ていきましょう。うつ病と診断されると生命保険の加入は難しいと諦めがちですが、治療中や治療後であっても、加入しやすい傾向にある生命保険はいくつかあります。
・引受基準緩和型保険
持病や既往歴がある方でも、加入しやすいように設計された保険です。
通常の保険では、健康状態について詳しい告知が必要ですが、引受基準緩和型保険は、告知項目が限定されているため加入できる可能性が高くなります。また、加入前にかかっていた病気が悪化・再発した場合も、基本的に保障の対象となるのが特徴です。一方で、加入しやすい分、保険料は割高に設定されていることが多く、契約して一定期間は給付額が減額される場合もあります。
>関連記事:持病がある人必見!引受基準緩和型医療保険の最新情報と選び方
・無選択型保険
無選択型保険とは、通常必要な健康状態に関する告知や医師の診査なしで加入できる保険です。加入時の健康状態が影響しないため、誰もが検討できる点は魅力ですが、保険料は、前述の引受基準緩和型保険よりも割高になります。なお、契約から一定期間内に病気で死亡した場合は、死亡保険金ではなく払い込んだ保険料相当額が支払われるなど制限が厳しいという点も押さえておきたいところです。
・がん保険
がん保険は、がんの治療のために入院・手術、通院をする場合などに備える保障です。がん関連の告知が中心の設計が多いため、うつ病の治療中でも加入しやすい保険と言われています。(各社の告知基準による)。
当然ながら、がん保険では、うつ病などの精神疾患や、がん以外の病気・ケガは保障されません。
まとめ
うつ病になると、一般的に生命保険への加入は難しくなる傾向があります。しかし、「引受基準緩和型保険」や「無選択型保険」は保険料が割高になったり、保障に一定の条件が付いたりするものの加入できる可能性が残されています。また、「がん保険」は、うつ病かどうかで一律不可にはなりません。さらに重要なのは、うつ病になった時の公的保障です。「傷病手当金」や「自立支援医療」「障害年金」「生活保護」などの公的制度を活用でき、医療費の自己負担や収入減による不安を軽減できます。
まずは、公的制度によってどの程度カバーできるのかを確認し、そのうえで万一の際に預貯金などの金融資産で対応できそうか考えてみましょう。それでも不安が残る場合は、生命保険で補完すると良いでしょう。
この記事の情報は2025年12月時点


ファイナンシャルプランナー(CFP®)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一
白浜 仁子(しらはま ともこ)
1989年地方銀行に就職。結婚、出産を経て2008年より独立系FPとして始動。家計、資産運用、住宅購入、生命保険など幅広い視野でコンサルティングを行うライフプランの専門家。また、障害を持つ子の親亡き後問題やおひとりさまの終活サポートも行なっている。
