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医療保険が必要な年齢は何歳まで?年代・男女別の加入割合や注意点を紹介

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公開日:2025年10月30日

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「医療保険は何歳まで必要なのかな」「加入する場合はどのような保障が必要なのだろう」と迷われる方もいるのではないでしょうか。年齢やライフステージによって、医療保険の必要性や保障内容は異なります。自分にあわせた保障内容を選ぼうとすると、どのような基準で判断すればよいのかわからず、戸惑う方も少なくないでしょう。
この記事では、医療保険の年代・性別の加入割合を紹介するとともに、加入する際の注意点や見直す際のポイントを解説します。


※本記事についてのご注意

医療保険はどの年齢まで必要なのか?

医療保険に加入すべきかどうかは、年齢やライフステージ、収入や貯蓄額など、人それぞれ異なるため、一概に「何歳から何歳までは必要である」という答えはありません。
ではどのような時に保険は必要なのでしょうか。

例えば、「貯蓄が少ないなか、病気になり、入院費や治療費の支払いに困らないように備えておく」とか、「結婚や子どもの誕生などで家族が増えたときに、収入減に備えて大きな保障にしておく」「年金生活になったときに、病気をしても治療費に困らないように、働いている間に備えておく」など、そのときの家族構成やライフステージによって、どのような保障が必要なのかが見えてきます。

医療保険の加入割合

保険の加入を考えるときに、「ほかの人はどのような保険に入っているのだろう?」と気になる人は多いです。多くの人が入っているものが正解とは言えませんが、参考にはなります。年代別、男女別で加入割合をみていきましょう。

・年代別
単身世帯の加入率は2人以上の世帯の加入率と比べると全体的に低めですが、どちらの世帯でも30代以降に加入率は高くなっています。
特に2人以上の世帯では、30代から60代の間で世帯主の加入率が最も高くなっています。これは、結婚や子どもの誕生などをきっかけに、病気などで生活が困らないよう、保障を手厚くしていると考えられるでしょう。

高齢世帯の加入率が下がっているのは、以前の医療保障は死亡保障などの特約でつけることが多く、主契約の払い込みが終わる60歳や65歳で一度保障終わってしまうタイプが多かったことが考えられます。加えて、医療保障をその後も続けようとすると、更新型となり80歳までしか更新できなかったり、更新後の保険料が高額なため、継続をあきらめざるを得なかった人もいると思われます。
高齢になってから新たな保険に入ろうとすると、病歴があることで希望する保険に入れないということも出てきます。加入を検討するなら、病気をする前の若いうちに将来のリスクに備えて、無理のない保険料で払っていける保険を探してみましょう。

・男女別
男女別をみてみましょう。二人以上の世帯では、世帯主が男性の場合90.2%、女性でも87.9%とほぼ9割の人が加入しています。それに比べて、単身世帯は男性63.1%、女性は71.7%と低い加入率になっていますが、単身世帯は男性より女性の方が医療保障に対しての関心が高いようです。

医療保険に加入するメリット

■高額な治療費負担に備えられる
掛け捨ての医療保険であれば、保険料は安く、若い人でも負担なく加入できるでしょう。1日2日程度の入院であれば、貯蓄で対応できる人も多いかもしれませんが、長期入院をすることになったり、手術が必要になったりなど、治療費は高額になることもあります。たとえ、保険で全額払いきれなかったとしても、「保険が出る」というのは安心感につながります。

■公的保険でカバーできない支出に備えられる
差額ベッド代や先進医療の技術料など、公的医療保険では対象外になる保障に対しても医療保険は役に立ちます。
1日入院したらいくら、手術をしたらいくら、と定額が支払われるタイプが多いですが、最近では掛かった実費を保障してくれたり、通院も対象となる保険も出てきています。どのような保障をどこまでカバーしたいか、そして支払える保険料の範囲を考えてか、検討してみましょう。

■持病があっても必要な保障を確保できる
簡単な告知で加入できる「引受基準緩和型保険」や、告知が不要な「無告知型保険」といった保険が出てきているため、持病がある人でも必要な保障を確保するのは容易になってきました。しかし、保険料が高かったり、保障が始まるまでに時間がかかる「免責期間」を設けていたりする場合もあるので、通常の健康な人向けの医療保険と何が違うのかきちんと確認するようにしましょう。

告知の内容によりますが、通常の医療保険に加入できる場合もあります。保険料の割増や、「〇〇は保障しない」「〇年間は保障削減する」など条件を付けられることもありますが、緩和型の医療保険より安い保険料で加入できる可能性もあります。治療中もしくは過去であっても、どんな治療をしていて、どんな病気をしたことがあるのか正しく告知をして、希望の保険に入れるか相談してみましょう。

■生命保険料控除が使える
医療保険であれば、一般的に介護医療保険料控除の対象となり、年末調整や確定申告をすると所得税や住民税が安くなる控除が使えます。生命保険料控除には生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除と3つの種類があるので、どれに該当するかは秋ごろに届く控除証明書に記載があるので確認してみましょう。

※平成23年12月31日より前に加入している保険がある場合は、旧制度の生命保険料控除の対象となり、新旧どちらを使うか、どちらも使えるかは計算が必要です。

医療保険に加入する際の注意点

■加入時の年齢が上がるほど保険料が高くなる
生命保険は一般的に加入者の年齢が高くなるほど保険料が高くなります。更新型の医療保険であれば5年更新なら5年後、10年更新なら10年後の年齢の保険料で更新されるので、更新のたびに保険料が上がり家計の負担は増えていきます。

厚生労働省が発表している令和5年の患者調査から「入院の受療率」を見てみると、「妊娠、分娩及び産じょく」も含まれているため0歳は受療率が高くなっていますが、0歳以外の若年層の受療率は低く、年齢が上がるにつれ上がっていきます。医療保険が高齢になるほど保険料が高くなっていくことの根拠ともいえるでしょう。

■入院や治療など支払事由に該当しなければ給付を受けられない
保険料の安い掛け捨て型の医療保険は、途中解約しても満期になっても保険料は返ってきません。そのため、入院や保険金支払いの対象となる治療をしなければ払い損だと感じてしまう人もいるでしょう。貯蓄型の医療保険や健康祝い金付きの医療保険は、加入中に入院や手術などがなかった時でも保険金が返ってくるため人気がありますが、保険料は高くなります。保険料が高くても戻ってくる保険の方がよいのか、安心料として、何もなくてよかったと思える額を掛け捨てで払うのか、保障と保険料のバランスを考えて選びましょう。

■医療保険には年齢制限がある
医療保険に限りませんが、生命保険は加入できる年齢に上限が設定されていることが多く、新たに保険に加入しようと思ってもその年齢を過ぎると加入することができません。また、高齢の場合、親族の同席を求められたり、複数回、加入意思や内容の確認を求められたりすることもあるので、なるべく早い段階から加入を検討しましょう。

医療保険を見直す際のポイント

■ライフステージの変化に合わせる
就職や結婚、子どもの誕生、住宅の購入、転勤、退職、子どもの独立、親との同居など、ライフステージが変わっていくと必要な保障も変わっていきます。ライフステージに変化があったときは保険も見直しましょう。

■保障内容や保険金額に過不足がないか確認する
保険の見直しをするときは、現在加入している保険のままで保障内容や保険金額に過不足がないか確認しましょう。一生涯のお金の流れをシミュレーションするキャッシュフロー表を作ると、保障が必要な金額が目に見える形になるため、確認しやすいです。

若いときに加入した保険が保障のベースになるようなら、全てを解約せずに一部解約などして、必要な部分だけ残すことができないか相談してみましょう。保険会社や保険商品によっては、特約の追加によって保障を充実させたり、保障額の変更ができる場合もあるので、足りない保障は特約で増やすのか、新しい保険に加入した方がよいのか、保障と保険料を比較するとよいでしょう。

■保険料の負担と家計のバランスを考える
保険料が過大で家計に負担がかかっている場合、毎年や毎月定額で引き落とされていく保険の見直しを勧められることもあるでしょう。複数の医療保険に加入していれば、いずれかを解約することも選択肢に上るとおもいます。どれを解約するかは、保険内容のどこが同じで、どこが違うのか丁寧に見比べましょう。

例えば、60歳までに一生涯分の保険料を払い終える契約であれば、働いている間は保険料の負担がやや大きくても、年金生活のときには保険料の支払いに苦労しないで過ごすことができます。一方、一生涯保険料を払い続ける契約であっても、病気になったときは保険料の払い込みが免除される特約が付いている場合、闘病中に保険料の負担が軽減できるメリットがあります。このように保障内容の違いだけではなく、払い込み方法によっても保険料が違ってくる場合もあるので、家計が厳しい状態が、あと何年かで終わるのか、根本から見直しをしなければいけない状態なのかによっても、どちらを取ったらよいのかわかってくるでしょう。

まとめ

年齢を重ねるにつれて、結婚、出産、退職など様々なライフイベントが訪れます。それに伴い必要な保障内容も変化していきます。年齢が上がっていくほど保険料も高くなるので、今ある保障を残せるものは残し、足りない部分をどのように補うのか、といった視点で保険の見直しをしていきましょう。どんな保険に入ったらよいのか迷ったときは、医療保険の加入率も参考にしつつ、自分や家族にとって必要な保障は何か、検討していきましょう。

※この記事の情報は2025年9月時点

プロフィール
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ファイナンシャル・プランナー(CFPⓇ)
内田 まどか(うちだ まどか)

大学卒業後、FP資格取得し、FP事務所を開業。「万が一」のためだけではない、生きていくための保険の入り方から、住宅取得、転職、早期退職など、夢や希望を叶えるためのライフプランニングなど、シミュレーションを活用してアドバイス。個人相談を中心に活動している。

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