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貯蓄型のがん保険とは?メリット・デメリット、掛け捨て型との違いをわかりやすく解説

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公開日:2025年8月18日

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がん保険には、「貯蓄型」と「掛け捨て型」の2種類があることをご存じでしょうか。いずれもがんに対する保障がしっかりあることは共通ですが、毎月の保険料の違いや、保険を解約したときに受け取れる解約返戻金の有無などに違いがあります。
本記事では、貯蓄型のがん保険の特徴やメリット・デメリット、また2種類のがん保険がどのような人に向いているかをわかりやすく解説します。

貯蓄型のがん保険とは?

貯蓄型のがん保険とは、「掛け捨てではない保険」のことで、支払った保険料の全部、またはその一部が将来戻ってくる保険です。「貯蓄型」というと、払った保険料以上に受け取れるお金がどんどん増えていくように思うかもしれませんが、そうではありません。一般的ながん保険は、解約しても解約返戻金がなかったり、がんに罹患しなければ給付金はゼロといった「掛け捨て型」が主流なのに対して、還付金や解約返戻金を受け取れるタイプのがん保険を「貯蓄型」と呼びます。

具体的には、70歳や75歳など一定年齢を迎えると、それまでに支払った保険料総額のうち、給付されなかった分を「還付金」として受け取ることができたり、契約を解約した時に「解約返戻金」を受け取ったりすることができるがん保険のことを指します。

 

健康還付金があるがん保険
下図は還付金のあるタイプのがん保険のイメージ図です。
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あらかじめ決められた年齢までに、一度も給付金を受け取ることがなかった場合は、還付金として、それまで支払った保険料総額Aを受け取ることができます(Ⅰ)。

一方、途中で給付金を受け取った場合は、受け取った給付金Bを差し引いた【A-B】を還付金として受け取ります(Ⅱ)。
また、支払った保険料Aよりも受け取った給付金の総額Bが多い場合(AB)は、還付金はゼロというのが一般的です。なお、還付金を受け取った後もそれまでと同じ保険料を払い続けることで、がんの保障が続きます。

還付金の対象となる保険料総額Aは主契約部分の保険料のみが対象で、追加の保障を特約でつけていた場合の特約料は含まれないのが一般的です。受け取った給付金Bにも、特約から支払われた給付金は含まれません。

解約返戻金があるがん保険
解約返戻金があるタイプは、途中で解約したり死亡したりすると契約期間に応じて、解約返戻金を受け取ることができます。どの程度戻ってくるかは、商品の種類や加入から解約までの期間などによって異なりますが、支払った保険料総額よりも少なくなるのが一般的です。特に加入後すぐに解約する場合は殆ど受け取れない場合もあります。また、解約すれば当然がんの保障はなくなります。

がん保険は、途中で解約したり、満期がきたりしても、支払った保険料が戻ってこない「掛け捨て型」が多いため、上記のような貯蓄型のがん保険は種類が限られています。

貯蓄型のがん保険のメリット・デメリット


貯蓄型のがん保険のメリットとデメリットについて、それぞれ見て行きましょう。

【メリット】
がんの保障が充実している
病気やケガを幅広くカバーする一般的な医療保険に比べて、がん保険はがんに特化し た保障が備わっている分、がんに対する保障が手厚いのが特徴です。「がん診断給付金」というがんと診断確定されたときに受け取れる一時金や、がんの通院治療を保障したり、また入院を保障するタイプなら入院日数を無制限で保障したりするなど、医療保険よりもがん保障が充実した商品が多くなっています。このようながん保険の特徴である、“がんに手厚い保障”という部分は貯蓄型であっても変わりません。

② 保険料が掛け捨てにはならない
貯蓄型は、将来、還付金や解約返戻金を受け取ることができるなど“掛け捨てではない”という意味の貯蓄性と保障性の両方が備わっている点がメリットです。将来、もしも資金が必要となった時に解約して解約返戻金を受け取ったり、一定年齢になれば還付金が受け取れるタイミングがあったりするため、その資金をさまざまな目的に利用することができます。

【デメリット】
保険料負担が大きい
一見万能のように見える貯蓄型ですが、掛け捨て型に比べて、同じ保障内容であっても毎月の保険料の負担は当然大きくなります。支払った保険料の中から将来の還付金や解約返戻金への支払いに備えて、その分を保険会社が積み立てておくからです。そのため、収入が少ない場合や、子育て費用や教育費、住宅ローンの返済があるなど支出が大きい世帯にとっては、保険料負担が重いと感じるかもしれません。その場合は、掛け捨て型を検討すると良いでしょう。

② 解約すると保障がなくなる
解約返戻金は解約によって受け取れるものですから、解約するとがんの保障はなくなります。高齢期に向けてがんの罹患率が高まりますので、解約後にがんに罹患したときのために、貯蓄などでしっかり備えておく必要があります。なお、解約返戻金は支払った保険料が必ず全額戻ってくるわけではありません。加入年数に従って徐々に増えていきますが、加入後早いタイミングで解約すると、少額しか戻ってこないというのが一般的です。

掛け捨て型のがん保険との違い

繰り返しになりますが、貯蓄型と掛け捨て型の大きな違いは、将来支払った保険料が戻ってくるかどうかです。そして、保険料を戻すために保険会社が積み立てを行う貯蓄型は、保険料が割高になっています。一方、掛け捨て型は、がんの保障に特化している分、保険料が安く、家計への負担が小さいのが特徴です。

どちらを選ぶのが良いかは考え方次第ですので、それぞれの特徴を理解して、自分自身のニーズに合わせて選択すると良いでしょう。

貯蓄型のがん保険が向いている人

貯蓄型のがん保険が向いている人について解説します。

がんに対する保障と将来を見据えた貯蓄を同時に備えたい人
特に現役時代は、がんへのしっかりとした保障が欲しいというニーズに加えて、将来、何にでも活用できるお金を“保険で準備したい”という人には、貯蓄型が向いています。将来のさまざまな目的に使える資金なら、預貯金でいいと考える人はそれで十分なのですが、中には貯蓄ができない、自分ではどうしても貯められない、“保険料なら引き落としだから無意識に貯められる”と考えるなら、貯蓄型を選択すると良いでしょう。

保険会社に支払った保険料を無駄にしたくない人
 “保険料を長年支払っても、全く給付金を受け取れなかったら無駄になったと後悔しそう“と考えるタイプの人には、貯蓄型が向いています。本来、保険は加入者みんなで公平に保険料を負担することで、少ない保険料でリスクに備えることができる仕組みですから、無駄になるわけではありません。しかし、このように掛け捨て型の保険に抵抗のある人には貯蓄型が向いています。

ただし、貯蓄型のがん保険は種類が少ないので、掛け捨て型に比べて選択の余地が少ない点は留意しておきましょう。

掛け捨て型のがん保険が向いている人

以下のようなタイプの人には掛け捨て型が向いています。

保険料を節約したい人
掛け捨て型は、貯蓄型と同じ保障内容なら、保険料が安いため、保険料を節約したい人に向いています。同じ保険料を支払うなら保障を充実させたいと考える人も、掛け捨て型が向いていると言えるでしょう。

将来、がん保険を見直したい人
がん治療は新しい治療法や薬が開発されるなど進歩が早く、それに従ってがん保険も進化しています。そのため、将来、その時代の治療法に合ったがん保険に見直したいというニーズも出てくることが予想されます。そのような、将来的、または定期的にがん保険を見直したいという人にも、保険料が安い掛け捨て型が向いています。

さらに、保険期間が終身のタイプよりも10年など一定期間ごとに更新するタイプの方が、保険料が無駄にならない可能性があります。ただし、更新型の保険は、若いうちは保険料が安いのですが、
年齢が上がると保険料がアップする点は気を付けておきましょう。

さまざまながん保険の中から選びたい人
がん保険の多くは掛け捨て型ですから、商品のバリエーションが多いのが特徴です。複数のがん保険を比較して自分にあった商品を選びたいという人には、選択肢の多い掛け捨て型が向いていると言えるでしょう。

資産形成は保険以外の方法でと考える人
将来必要になるお金は、自分で貯蓄や投資で準備できるという人も掛け捨て型の方が合理的です。掛け捨て型で、しかも終身型なら、安い保険料で一生涯のがん保障を用意できるからです。節約できた保険料分のお金を、貯蓄や投資に回して、将来に備えましょう。

まとめ

一般的ながん保険は、掛け捨て型が多く、支払った保険料が将来戻ってくるということはありません。一方、貯蓄型のがん保険は、がんへの備えをしっかりしつつ、将来支払った保険料の全部または一部が戻ってくる保険です。将来戻ってくるお金は、保険会社が積み立てていく部分が多く、掛け捨て型よりも保険料が高く設定されています。それぞれの特徴や、メリット・デメリットを理解した上で、家計の収支のバランスをみながら、自分のニーズに合った型、商品を選びましょう。



※この記事の情報は2025年7月時点

プロフィール
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ファイナンシャルプランナー(CFP®)。株式会社プラチナ・コンシェルジュ 代表取締役
田辺 南香(たなべ みか)

大学卒業後リクルートに入社。社内ITコンサルタントからFPへ転身。心豊かな生活を実現するお金のコンシェルジュとして保険、住宅取得、老後資金等などのマネープランに関するアドバイス、執筆、セミナー講師などを中心に活動中。主な著書に、「未来家計簿で簡単チェック!40代から間に合うマネープラン」(日本経済新聞出版社)などがある。

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