【適応症】 薬物療法に反応しない双極性障害の抑うつエピソード 【技術の概要】 反復経頭蓋磁気刺激は、刺激装置本体と刺激コイルから構成される。8 の字型の刺激コイルに約 200 μsの瞬間的な電流が流れ、コイル周囲に磁場が生じる。その磁場に伴って渦電流が生じ、この渦電流が脳内のニューロンを発火させる。うつ病、双極性うつ病では、情動に関連した領域である扁桃体や脳梁膝下部の過活動が認められ、それに引き続き、左前頭前野が機能不全となると考えられる。反復経頭蓋磁気刺激は、右前頭前野に連続した低頻度刺激を行うことで、膝下部帯状回、前頭葉眼窩野などの情動に関連した領域の脳血流を減少させ、うつ症状を改善させるとの報告がある。当該治療法は、薬物療法に反応しない単極性のうつ病への有効性が示唆されている。治療抵抗性を示す双極性うつ病は、単極性のうつ病よりも患者数が少なく、エビデンスも少ないものの、有効性を示す報告もある。本試験は日本うつ病学会のガイドラインで推奨される薬物療法に反応しない双極性障害の抑うつエピソードの患者を対象とする。患者の一次運動野で運動誘発電位を測定し、それを基準に刺激部位、刺激強度を決定する。1 日約 30 分、週 5 日、4 週間の治療を行い、観察期間に移行する。一般的な副作用としては、頭痛、刺激部位の痛み、不快感、筋収縮が 20~40%の頻度で認められる。
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