【適応症】 食道アカラシア、食道びまん性けいれん症等の食道運動機能障害を有するもの(食道の内腔が狭窄しているものに限る。) 【概要】 食道アカラシアとは、下部食道の狭窄により食物の通過障害、嘔吐、胸痛、誤嚥性肺炎などを生じる。下部食道のAuerbach神経叢の変性消失が主因と考えられており、薬物療法、内視鏡的バルーン拡張術、ボツリヌス菌毒素局注療法、外科的治療(筋層切開、噴門形成術)などが行われている。外科的治療が最も恒久的な治療法と考えられており、現在、低侵襲な腹腔鏡下手術(保険収載)が主流となっているが、それでも少なくとも数個の腹壁の傷を要する。また筋層切開を経腹的に行う場合、筋層切開術の長さは最長でも7cmくらいに制限される。したがって、「食道びまん性けいれん症」などは治療対象となりにくい。 われわれは、外科的治療と同等以上の根治性を持つ低侵襲治療法として、経口内視鏡的筋層切開術(Per-Oral Endoscopic Myotomy : POEM)を開発し臨床応用している。POEMでは筋層切開の長さを可及的に延長できるので「食道アカラシア」のみならず、「食道びまん性けいれん症」にも適応可能である。
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